新年明けましておめでとうございます。2007年も当ブログを宜しくお願いいたします。
さて、2007年03月18日よりSuicaとPASMOの共通利用が始まり、どちらのカードでも首都圏の鉄道の自動改札をタッチするだけで自動的に精算してくれるようになるのは前述の通りです。ところが、今月に入って首都圏のJR主要駅で、SuicaとPASMOの共通利用に関する詳しいリーフレットが配布されるようになりました。これによりますと、これらICカード乗車券を使う場合は、一般的な磁気乗車券(普通のきっぷですね)を使う場合と比較して違いが出るということです。その中でも最も大きな違いが、通過連絡運輸の有無です。
結論を先に言いますと、通過連絡運輸が絡む場合、普通のきっぷの方がお得になるので、該当区間を利用する予定がある場合はできるだけ普通のきっぷを買いましょう、ということです。但し、東京メトロ千代田線が絡む場合を除きます(後述します)。
それでは順を追って、まず通過連絡運輸とは何かについてから話を始めたいと思います。
通過連絡運輸とは、JR→私鉄→JRと乗り継ぐ際に、前後のJRの営業キロを通算して運賃を計算できますよという契約です。
と申しましても実感が湧かない方もいらっしゃるでしょうから、まずは通過連絡運輸でない例を挙げます。
- 新宿(JR埼京線/8.6キロ160円)大崎(東京臨海高速鉄道りんかい線/12.2キロ380円)新木場(JR京葉線/5.3キロ150円)舞浜
この場合、会社が変わる大崎駅・新木場駅でそれぞれキロ数が打ち切られ、かかる運賃は160円+380円+150円=690円となります。(注:この例で、埼京線とTWRりんかい線とは直通運転を行っているので、大崎駅では確かに乗り換えをしませんが、会社が変わるので当然運賃は境界となる駅で打ち切られます)
続いて、通過連絡となる例を挙げます。
- 船橋(JR総武線/2.6キロ130円)西船橋(東京メトロ東西線/30.8キロ300円)中野(JR中央線/7.8キロ160円)吉祥寺
この場合、もし通過連絡が無いとするならば、運賃は130円+300円+160円=590円になります。ところが、JRと東京メトロとの間には、「この例ならば通過連絡にしましょう」という契約があります。なので、実際はJR部分の運賃は、2.6キロ+7.8キロ=10.4キロに対応した210円になります。よって、合計の運賃は210円+300円=510円になります。80円も安くなりました。めでたしめでたし。
と、今までならばこれで良かったのですが、ICカード乗車券では通過連絡が適用されないので運賃は590円になります。
又、東京メトロ東西線絡みでは更なる問題があります。西船橋駅には、今年03月18日よりJR線と東京メトロ又は東葉高速鉄道の乗り場の間に中間改札ができる予定です。ところが、それ以後も西船橋駅を直通し、津田沼方面から直接東京メトロ東西線中野方面に向かう列車が朝・夕に数本設定される予定です。そして、もしそのような列車に乗って西船橋駅の中間改札を通らずに東京メトロ東西線を経由して三鷹方面へ向かう場合、ICカード乗車券を使うと全線でJRを使ったものと見做されるので注意が必要です。上の例の場合では、船橋から吉祥寺まで全線でJRを使うと42.6キロになりますので690円になります。
さて話を元に戻しまして、続いては「どの区間だと通過連絡運輸が適用されるのか」についてお話します。通過連絡になるかならないかは、JRと該当する会社の間の契約によります。上で述べたJRと東京臨海高速鉄道との場合、そういった契約は一切無いので通過連絡運輸になりません。
では通過連絡運輸が適用される区間というのは具体的にどこなのでしょうか。Suica・PASMO利用エリアに限定すると意外と多くはなく、こちらのページの1~8が該当します。特に東武鉄道が絡むと非常に複雑になります。
最後に、例外を1つだけ紹介しておきます。それは、東京メトロ千代田線の西日暮里-北千住間が絡む場合、ICカード乗車券を使うとぶつ切りで計算した運賃から100円引きになります。
- 蕨(JR京浜東北線/13.4キロ210円)西日暮里(東京メトロ千代田線/4.3キロ160円)北千住(JR常磐線/6.6キロ160円)金町
この経路のとき、普通のきっぷですと、前後のJR線の営業キロは通算でき、13.4キロ+6.6キロ=20キロで290円になるので、トータルでは290円+160円=450円になります。ところが、ICカード乗車券ですと210円+160円+160円-100円=430円となり、ICカード乗車券の方が安くなります。
では、東京メトロ千代田線の西日暮里-北千住間を通過する場合はどんな場合でもICカード乗車券の方が安くなるのかというと、そうではありません。例えば
- 田端(JR山手線/0.8キロ130円)西日暮里(東京メトロ千代田線/4.3キロ160円)北千住(JR常磐線/6.6キロ160円)金町
このとき、普通のきっぷですと320円ですが、ICカード乗車券ですと350円になります。つまり普通のきっぷの方が安いわけです。
このようにどちらが安くなるのか「一概に言えない」のは歯痒いですが、よく使う区間だけでもどちらが安くなるのか計算して覚えておくと良いでしょう。